世界と向き合っている人のお話が貴重『本当の戦争の話をしよう』 [一般]
紛争屋と自ら名乗る伊勢崎賢治さんの本。
この本は東日本大震災の後、福島県の高校に講義をしにいったときの、高校生たちとの対話から生まれた本。
内容もハードそうだし、分厚いし、すぐに読む気になれず、しばらく放っておいたのですが、
安全保障関連法案がとうとう決まりそうだな〜、という雰囲気の中、読み始めました。
高校生に向けて話している体裁なので、難しい社会情勢なんかも比較的わかりやすく語られていますし、
何よりも、実際に紛争地域に入り、停戦や武装解除などの交渉に携わり、指揮をとっていた方のお話です。
えも言われぬ迫力があるというか、重みがあるというか。
実際、怖い事を自戒を込めてなのでしょうが、きちんと語られていたりしました。
データ的な事は、講義から本を作る段階で新しいことも付け加えているようで、2014年末くらいまでの情勢が述べられています。
語り口に勢いがあるし、高校生たちの言葉も入っています。
優秀な学生さんの目の付けどころも良いエッセンスになっていて、それも読みやすいポイントかも。
こんなにとっつきやすい本なら、もっと早くに読んでおけば良かったなー。
と思い、その後
『国際貢献のウソ』
『日本人は人を殺しに行くのか』
『紛争屋の外交論』
をたて続けに読破。
ある意味『本当の戦争の話をしよう』が総論的な感じで、後で読んだ本がテーマを掘り下げるようなところがあって、自分的には読む順番がしっくりきました。
新聞やニュースでちょこちょこと目にしてきたけど、実際問題流してしまっていた
・大国に翻弄されてきた紛争国、地域
・紛争や戦争が起きてしまうときの空気
・日本が何をしていて、世界からは何を求めらているのか
などなど、こういうことだったのか〜、へえ〜〜!
と自分の知識のなさにがっくりしてしまいました。
色々な意見があるテーマを扱っていて、この著者の言う事が全てではないにしろ、実際に紛争の中で働いた人の語る重みを感じました。
日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門 (朝日新書)
- 作者: 伊勢崎 賢治
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2014/10/10
- メディア: 新書
紛争屋の外交論―ニッポンの出口戦略 (NHK出版新書 344)
- 作者: 伊勢崎 賢治
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2011/03/08
- メディア: 新書
【楽天ブックスならいつでも送料無料】本当の戦争の話を... |
シンプルだけどそれが大切『奇跡の営業』 [一般]
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正直言いますと、タイトルを見た時、「いかにも」な臭いがプンプンするなー、と思いました。
ただ、オビに「未経験にもかかわらず、44歳で転職。」という文言に目が止まりました。
未経験というからには、全く別業界に転職したとのことで、
元中堅ゼネコンの現場監督(ごく普通の技術者らしいです)で、生命保険業界に転職し、しかもトップセラーになったという、なんともすごい!
保険営業って、まずは縁故知人掃討作戦…と、わりあいと若いときに入るというイメージ。
しかも、覚える契約や制度の仕組や計算など、柔軟な頭じゃないと大変そう。
理数工学ができて、構造把握が得意な人って、そいういうのに対応できるの? と思いつつ読み始めました。
そのことの苦労はあまり語られていませんでしたが、
転職の動機、
そして予想通り、口べた(本人談)で年のいった新人は、最初はとても大変だったそうです。
それがどうしてトップセラーになったのか?
それは「紹介」に鍵があり、
その紹介を導くツール「魔法のアンケート」
なるものがあるんだそうです。
え!? それだけ?
紹介って、もし私が保険屋さんに頼まれたとしたら、思いっきりひきますよ、と思いました。
でも、紹介ってハードルが高いように思えて、実は
「美味しいレストランを紹介する」ことと同じなんだおそうです。いいレストランにであったら、人に教えたくなるし、誰かに相談されたら、まずあそこを紹介しようなんてこと、確かに良くあります。
とはいえ、保険も同じようにできるのだろうか? とも思います。
そこで、著者が体得した方法が効いてくるのです。
保険を職業として実現させたい信念や、人柄、たくみで、引く押すのタイミングをコントロールする技術も必要なようで、そのことがご本人の体験を軸に語られています。
本を読んで感じたのは、かなりプライベートに関わる商品だからこそ、紹介という手段が有効なんだなということです。
良く知っている人、信頼する人が、「保険の疑問について相談してくれる人がいるよ」とか、「学資保険のことまよっていたじゃない、わかりやすく教えてくれるし強制はさせられないよ、話だけでも」なんて声をかけてきたら、(しかもタイミング良くお悩み中だったら尚更)会ってみようかな、という気になりますよね。
言葉も平易だし、とてもわかりやすい説明がされています。保険の難しい仕組みがのっているわけではないですし。
著者はソニー生命の営業マンなのですが、こういうふうに分かりやすく保険についても教えてくれるなら、今の保険を見直すにあたってお話を聞いてみたくなっていまいます。
ほんと、保険って、一生もんで命綱にもなるものなに、とても分かりにくいですもんね。
保険は営業スタイルとしてはちょっと特殊なようでもあり、
いい商品、良いレストランを紹介する口コミというのは一定の率で有効ですし、いろんな業界の営業に応用できるのだろうな、と思いました。
特に、お客さんとの距離感と「紹介」を
勝ち取る流れが興味深かったです。
小手先の点取り主義でなく、自分の売る商品に信念と自信を携えて営業をする営業マンがもっと増えてほしいと思いながら読み終えました。
キンドル版もあるようです。
D機関シリーズ第3弾♪『パラダイスロスト』 [一般]
マジカルとも思える活躍をするD機関の面々。
ただ、随所に人情や感情も流れていて、ぐいぐい引き込まれてしまい、大好きなシリーズです。
今回の『パラダイスロスト』も短編の集合体です。
「追跡」
D機関の元締め、結城中佐の過去が外国の新聞記者によってあばかれる!?
有崎と結城の読み替えトリックの時点で、あれ……?と思ったらやっぱり…。
でも、結城中佐の過去を除き見ているようで、読んでいてハラハラしました。
「誤算」
フランスのレジスタンスと行動することになった、D機関員の目的は……。
「失楽園」
シンガポールの最高級ホテルで起きた殺人事件の真相を解き明かそうとするアメリカ人青年。
日本人が入り込めるはずのないイギリス系のホテルでD機関は情報をあつめられるのだろうか?
「暗号名ケルベロス」
「とき丸」という日本の豪華客船がサンフランシスコから横浜へ向かっていた。
その戦場には、かなりの数のドイツ人、クロスワードパズルをこよなく愛するイギリス人、そして…。
ケルベロスの正体とは?
いずれも、戦時中のスパイ小説だというのに、ワクワクドキドキ。
次に何が起こるか……。
とても楽しませてくれます。
はやく、次の巻出ないかと待ち遠しいです。
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京都が舞台のミステリー『珈琲店タレーランの事件簿2 彼女はカフェオレの夢を見る』 [一般]
珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (宝島社文庫)
- 作者: 岡崎 琢磨
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2013/04/25
- メディア: 文庫
1作目は珈琲プラスミステリーに惹かれて買って読んだが、肝心のミステリー部分がいまひとつ、と思ったくせに、2巻目が出ているので、ついついまた買ってしまった。
この2作目は、事件や謎解きの部分が1作目より盛り上がります。
内容はいくつかの事件が入っていて、まず1つ目は美星の友人が持ってきた手紙の謎です。
友人の姉が引っ越したのですが、その住所が決まるより前に、元婚約者がその新住所に宛てた手紙を発送していた謎。
その次は、美星の妹が突然東京からやってきて引き起こす騒動。
この巻は基本、この美星の妹「美空」が京都へやってきた本当の目的と、姉妹の秘めたる過去が主軸となっています。
そして、合間合間にはいる、怪しいおじさんも要です。
府外に住んでいる、京都好きにとっては、今回はメジャーな観光地も舞台になっていたりしてうれしいところ。
謎に関しては、ちょっとぉ〜!!と思うご都合主義なところも見受けられましたが、1作目より断然おもしろかったです。
今回はちょっと、珈琲が苦かったかな……
珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 作者: 岡崎 琢磨
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2012/08/04
- メディア: 文庫
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『明日もいっしょに おきようね』 [一般]
むすっとした猫の表紙が印象的。
保健所に持ち込まれたおっかない顔の大きな猫。
ボランティアに来ていたノリコさんは世話をするうちに妙に心ひかれ、でかお、とその猫を呼ぶようになります。
でかおをひきとりたい、でも家には既に何匹もの猫をひきとっています。
でかおの処分の日、施設の都合で延期された事を知ったノリコさんは、その後、考えに考えて、でかおを引き取る決意をしました。
しかし、いつもの曜日がくる前に、でかおは処分されます。
来週になれば、またたくさんの犬や猫が持ち込まれるから…。
でかおは筋肉弛緩剤を打たれ、冷凍庫に入れられました。
徐々に呼吸がとまり、息絶えているはずです。
しかし、ノリコさんが冷凍庫からでかおが入った袋を取り出すと袋が動きました。
苦しまないように、ともう1本注射を打たれたにもかかわらず、でかおはわずかに動きます。
せめて暖かい家で息をひきとらせたい、のりこさんは家に連れてかえりました。
心配ででかおに添い寝していたノリコさんが翌朝気付くと……。
実話をもとに描かれた物語。
でかお、よかったね。
一つの命が助かるという、事例。
だけど、それが何を訴えているのかは明白と思われます。
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戦後の闇と友情と『トーキョー・プリズン』 [一般]
ずーっと、気になっていた柳広司さんの作品。
気付いたらどっさり文庫化されていたので気になっていた作品から購入。
で、いっとう最初に手をつけたのが、これ。
トーキョー・プリズン、つまり巣鴨プリズンをさすタイトル。
ちょっと難しいかな……、と読み始めたら止まりませんでした。
戦争中に行方不明となった親友を捜しに巣鴨プリズンをおとずれたニュージーランド人の私立探偵フェアフィールド。
調査の許可の交換条件は、囚人のキジマの記憶を取り戻す事。逮捕前に暴漢に襲われたキジマは、戦時中の記憶を失っており、起訴手続きが停止していたのだった。
キジマの手足となってプリズン内で起きた不可解な自殺(殺人の可能性あり?)の調査を進めていくと……。
読み始めたらすぐに、ストーリーの世界に入り込めました。
記憶喪失だが頭脳明晰、一枚の写真からゲーリングの自殺の真相を言い当てたというキジマ、キジマの婚約者だという女性とその兄、プリズン内のさまざまな人間関係、戦後の東京などなど怪しくものぞいてみたくなる衝動にかられる世界が展開していました。
付属している解説によると、古典的名作ミステリーへのオマージュがちりばめられているらしい。
細かい事は、わからないけれど、そんなこと知らなくても十分楽しめました。
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コーヒーにミステリーはよく似合う『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』 [一般]
珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 作者: 岡崎 琢磨
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2012/08/04
- メディア: 文庫
コーヒー店にミステリー? なんて魅惑的! と思いつつ暫く迷ってから購入。
運命の味に出会った主人公(語り手)の青年は、その古風な珈琲店タレーランに通う。
主人公の身の回りの出来事をかわいらしくもちょっと謎めいたバリスタ美星が解き明かす。
コーヒの蘊蓄、舞台となる京都の街、と好きなものが二つも、いや、ミステリーを入れると3つ集まっているので、とても楽しめました。
ただ、割合とミステリー部分は弱い気がしましたが。
読んでいて「?、微妙だな」みたいなひっかかりを感じるところが、
案の定伏線、という分かりやすい文章でした。
そして最後はちょっとうまくいきすぎかなーと思ったりもしましたが……。
まあ、面白かったので満足です。
手軽に読めるので、仕事が忙しい時など、気晴らしになるかなーと思いました。
あと、コーヒーを飲みたくなってしまうのは言うまでもありません。
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世界に通用する底力『挑む 世界一を獲った富士通の流儀』 [一般]
この本はR+さんより献本していただきました。
で、さっそく読もうかなーと思って手にしたところ、意外に分厚いし、なんかいかにも中身が難しそうな装丁でちょっと後退り。
気を取り直して目次をパラパラめくると、世界一となったスーパーコンピュータ「京」やすばる望遠鏡、アルマ望遠鏡、復興支援など…、興味深いキーワードの記事があるではないですか!
良かった〜、とホッとしました。
読み始めてびっくりしたのは、富士通という、名前はよく知っている会社のことを、何をやっているのか知らなかった、ということです。
どちらかというとPCやオフィス系の事務機器、ケータイくらいのイメージだったのですが、巨大なシステム構築などで世界有数の企業だったのですね。
その巨大システムをいかに組んでいくか、ということに焦点を当ててたらこれまたSEの人しかわからない本になってしまっただろうけど、これはプロジェクトに関わった人たちがいかに目標に向きあったか、そのプロジェクトを支えるバックグラウンドつまり富士通という会社の持つ気質のようなもので話が進むので読みやすいです。
以前TV番組にあった「プロジェクトX」のようなつくりです。
門外漢のわたしでも興味深く読めたのは、コンピュータの関連の言葉がちょっとも難しかったけど「第1章絶対にNo.1を目指す スーパーコンピューター「京」」、「第3章妄想を構想に変える すばる望遠鏡/アルマ望遠鏡」、「第4章誰よりも速く 復興支援」です。これを読むだけで、一筋縄ではいかない富士通の底力のようなものがわかります。
まず、トップや上司の姿勢。責任は自分がとるからやってみろ、だの困ったときは力になることをこの本の成功パターンの中ではいろいろな部署の各時代の上司たちが貫いている。
そしてプロジェクトに対して、なにか事があると他の部署から協力を申し出られたり、融通してもらったり…。そのタイミングの良さが、読んでいて本当か?と思うほど。でも、そういう社風なのか会社組織を作り上げられているの言うのは貴重ではないかと思いました。
そして社外の人ととの関わりも、巻き込み方がうまいな、とおもわせられました。
本当に才能ある人はこういう環境にいるということで、更にのびていくのだろうな、と人を育てる姿勢から思えました。
この本では「対お客様」へのサービス提供という視点があるからという捉え方だったけど、社員が泳ぎやすい会社の環境があるからこそ、お客様の信頼を得ていけるのだろうなと感じさせられる本でした。
プロジェクトX的な内容が富士通という会社だけの事例でまとめられているので、ちょっと広告みたいと思ったりもしたけれど、それだけすごい実績と力のある企業だからこそでてくるお話なのですね。
なので、これから社会に出ようとする人、学生さんに読んで、志ををもってくれればいいな、と思わせる本でした。
完全版十二国記が美しすぎる♪ [一般]
以前おおいにハマった物語がとうとう完結しそうだということで、
十二国の完全版が出るというのでワクワクして待っていました。
『魔性の子』旧版も「十二国記」シリーズの講談社Xホワイトハートの
文庫版を持ってますけど、ついつい購入♪
『魔性の子』旧版は表紙だけに山田画伯のイラストが入っていましたが、
完全版では書き下ろしで中にも入っています。
うれしすぎる!
まだ中を読んではいないのですが、後ろをペラッと見た限りは『魔性の子』に
関しては加筆修正はないのかな?
十二国記『月の影 影の海』(上・下)
山田画伯のイラストが一般向けに描きなおされていて、
ずいぶん大人っぽい感じです。
キャラクターをかえるわけではないですが、表現方法が一般向けの
挿絵となっていて描き分けが興味深いです。
ホワイトハート文庫版からは完全版の前に講談社文庫版になるときに
加筆修正されていたらしいです。
講談社文庫版は読んでいないので、そのうち読みなおして、
新作に備えよ〜っと♪
魔性の子 十二国記 (新潮文庫) (文庫) / 小野不由美/著 |
月の影 影の海 (上) 十二国記 (新潮文庫) (文庫) / 小野不由美/著 |
月の影 影の海 (下) 十二国記 (新潮文庫) (文庫) / 小野不由美/著 |
英雄とは?を問う『英雄の書』 [一般]
読んでいる間、中島みゆきの「世情」が頭の中で鳴り続けていました。
夢中になって読めたけど、長かった〜。
そして、重かった。
何となく題名からしてロールプレイングゲームのようなお話を想定してしまっていたが、当然ながらそうストレートには行きませんでした。
12歳の森崎友理子のあにが同級生を刺し、相手が死亡してしまうという事件が起きる。
優しくて頼り甲斐がある自慢の兄がどうして…!
と、突然友理子の日常に暗雲が垂れ込める。
亡くなった伯父が蒐集した古書に事件の鍵があるとわかる。
古書たちによって『英雄の書』に兄が魅入られたと告げられる。
友理子は古書の手助けで、黄衣の王から兄を解放するために無名の地へ向かうが…。
現代の病的な事件とロールプレイングとSF的パラレルワールド?が混ざったようなお話でした。
どうなるのだろう? と物語に引き込む力は強いけど、
でもその割にこちらが期待した冒険活劇の盛り上がりが今ひとつ。
というか、結末へ向けて暗い世界。
というかある意味哲学的理論が物語として展開されていました。
だからか、ちょっと読むの大変でした。
【送料無料】英雄の書 |